【奈良でのイベント終えて】
今回の奈良でのイベントでは、色々な発見と学びがあったので何回かに分けて、その内容をお伝えできたらと思っています。
先に言い訳を。
Nomadic Kitchenの支配人として活動し始めて3年以上の月日が経ちましたが、あくまでも私は食に関しては、ど素人です。ただの一人の「食する人」の立場でこの活動を続けていくことが重要だなと思っています。
そういった視点で、今回も、これからも、私が実際に「見て、聞いて、食べて、感じた」ことを伝えていけたらと思っています。
こだわりの幻想|奈良のイベントを終えて その1
「こだわり」という言葉は、英語には存在しないと聞いたことがある。確かに自分でもあまり的確な訳が見つからないままでいる。「こだわって作ってるんです!」と良く耳にする。それだけで良い物と思い、それ以上の想像力を働かせない自分がいることに気づく。
「こだわり」という言葉を聞いて思い浮かぶイメージ。
奈良でのイベントを3週間後に控え(2015年6月26日にイベントは終了)、地域の特徴ある「こだわり」の食材として大和牛でコースを組み立てようか、という話になった。こだわりと聞いて牧場の広々とした環境で、牧草なんかを食べて育ち、奈良の自然に寄り添って育っていることを想像した。
実際にGoogleの画像検索で「大和牛」を検索するとそんな画像も表示される。
また、Chez Panisseを中心としたカリフォルニアのオーガニックフードの文化からすると、草原の草を食べて育つグラスフェッドの赤みの肉をその「こだわり」という言葉からイメージしてしまうのではないだろうか。
牧場の周りで育つ野菜や野草などを収穫し、その土地の水を使って、
そこで育つ大和牛と一緒に料理し、その循環する環境そのものをコース料理で提供したい。
幻想は、拡張を続けます。
調べていくと、大和牛は、国産の飼料は食べているものはいるが、牛舎で育ち奈良の自然環境に寄りそって育てられている感じではなかった。黒毛和牛という規格化されたランクの価格帯に合わせて育てられているブランド食材のひとつだろうか。それが悪いわけではない。実際に、普通のスーパーにはあまり出まわることのない貴重な食材と「聞いて」いるし、食べると美味しい。
ブランド食材の規格化の話で言うと、トマトなどは糖度によって価格がちがう(甘い方が高い)。農家さんが収益性を高めるためにより甘いトマトが作りたくなるのもわかる。それもひとつの「こだわり」である。また、日本人は「甘い=美味しい」と良く表現するとChez PanisseのJeromeに言われて耳が痛かったのを思い出す。みなさんもよく「甘くて美味しい」と言っていないだろうか?
市場が、食べる人の味覚をコントロールしているのか。
食べる人の味覚が、作り手をコントロールしているのか。
そんな問にまで発展してしまう。
毎度のことではあるが、残すところイベント開催まで約2週間だった。Chez Panisse のヘッドシェフのJerome Waagは、今回は、その土地の自然に寄りそって育てられた食材で、すべてのコースを料理したいと譲らなかった。
食材を探す旅はゼロからの再スタート。
すでに牛のビジュアルでイベントの告知はすんでいました(笑